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シネスケ

マルコビッチの怪演あってこそのこの緊迫感だったとは思うが、
主人公フランクの哀愁と犯人”ブース”の哀愁が激突する構成にしびれた。
彼らは二人とも傷付いていて、それを埋めるため残りの余生をすごしてきたが煮詰まっている。

その「傷付いた者」という構図を明確にするための、冒頭のフランク相棒のトラウマ体験と、辞職を決意するあたりが、後の展開にもつながっていて、非常に悲しくも的確であり、すばらしい脚本だと思う。

残りの余生とこれまでの人生に決着をつけるために動き出した”ブース”。
パートナーに選ばれたのがケネディ大統領の護衛に失敗したフランクだ。
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地味な映画だとは思うが、ところどころ目を見はる部分があった。
犯人のいくつかの巻き添え殺人の冷酷無比さ。
(この監督はホントに人の殺し方がうまい)
そのときの「お前らなんで鳥を殺すんだよ」というセリフとか。
樹脂製の特製拳銃の小道具としての印象の強さ。

演出的にも印象の強さはいえる。
ヴォルフガング・ペーターゼンは最近マイブームというか、ちょっとひいきの監督で、この間も『エアフォース・ワン』がもう一度見たくて、DVDを買ってしまった。
この映画は評判はあまりよくないんだけど、演出の点でかなり優れたアクション映画だと思っている。
それと前後して『アウトブレイク』もつい最近のTV放送でみたが、退屈なストーリーのわりに、後半の盛り上がりだけはすごいものがあった。絶対これは監督の功績だ。

これら2作の前になるけど、『ザ・シークレット・サービス』においても演出の冴えというのはところどころみられた。
とにかくテンポがいい。

(↓ここからややネタバレ)

とくに暗殺シーンでのシークレットサービスが円陣を組んでの猛ダッシュ。手ブレを出しつつカット割りと勢いで厨房を抜けリムジンに押しこむあたりの強引さがこの監督の持ち味だと思う。
テンポに関しては力技だけじゃなく、細やかな技巧も感じる。
”ブース”の変装シーンの二重露出を重ねていくあたりは鮮やかだと思った。
ああいう演出を他の(よく古いTV映画とかで見る)映画でやられると、陳腐な感じがするのだけど、ここはよくこの技法でやってくれたと思った。
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(↓もう少しネタバレ)
それと脚本の話にもつながるけど、
屋上の対決シーン。
ここの結末が、トラウマ体験の話と濃密にリンクしていて物悲しい。
この事件がフランクに新たなトラウマと問題提起をする。

「お前は本当に弾丸を受ける度胸があったのか?」と。
たしかにあのとき撃ってれば、大統領の命だけでなく色々なものを守れた。
自分の身を犠牲にすることと引き換えに。
30年前にケネディを守れなかったのも同じことじゃないのかと問いかけるマルコビッチの差し出した手。

全てを見透かされたようなフランクは、頑なに彼の一方的な恋愛感情にも似た友情を拒否する。
そう思うとマルコビッチの差し出した手が不気味かつ悲しい。
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 (↓完全にネタバレ※注意) 


ラスト近くは圧倒された。
フランクが狙撃のときにとった行動で、
ああ、この映画はいい映画だな、と確信に近い感触を得た。

エレベーターで”ブース”がいったセリフ
「俺がお前をヒーローにしてやったんだ」は間違ってないと思う。
ブースのおかげでフランクは過去の罪からのがれることができた。


最後の、(屋上のときとは逆転した)エレベーターでの「差し出した手」のシーン。
”ブース”は手をとらず落ちていったが、このシーンはとくに悲しい。
彼は「俺を助けたくていってるのか?」と問うが、
フランクはそれを理路整然と否定する。

たぶんブースが無言で落ちていったのは、じぶんがどこまでいっても孤独だということを最後に理解したからではないか。
もともとこれは一方的な恋愛のようなゲームだった。

ブースは自分を重ねたフランクと競い合うことで、失ったものを取り戻そうとした。

フランクが最後に得た「新しい人生」はゲームに勝った者の賞品なのだ。
しかし”ブース”にとって、賞品はフランクと同じでなく、「死」。
彼が電話でいっていた
「ケネディには自殺願望があった」というのはそのまま自分の気持を語っているだけなのだ。

フランクと”ブース”に境遇的な共通点は多々あったが、やはり交じり合うことのない他人。
ブースはそれに気づきたくなかったが、本当はわかっていた気もする。
恋愛感情を拒絶されたブースは最後に悲観して落ちていったのだと僕は思う。

そして、だからこそ、ラストの留守番電話がいっそう悲しい。
フランクと彼の新しい伴侶は、その電話を最後まで聞かずに出て行ってしまうことからも、この決定的な”ブース”の孤独は強調されているように思う。
(この伝言の中でブースは、主人公の新しい旅立ちにはっきりと好意からの祝辞を述べている)

異常な犯人の悲しさが主人公の悲しさを食ってしまっている。
そして主人公は過去に決別して新しい人生を。
”ブース”に感謝すべきとまではいわないが、やはりフランクは似たもの同士からの友情のプレゼントに救われたのかなと、ふと思ってしまう。

この映画が先にあげたアクション映画と決定的に違う点は、
この哀愁を画面に出せてるところだと思う。
そしてだからこそ、この映画は傑作といってもいいかもしれない良い映画だ。
落下(決別)のあと、エレベーターが下りていくシーンが好き。
二者の境遇がかけ離れていく瞬間を捕らえた演出としては品もインパクトもある。ペーターゼン最高!

2006.02.24 Comment:0 | TrackBack:0
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