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脚本:高久進 演出:白根徳重 作画監督:森下圭介

    あらすじ
ロケット工学の権威で兜十蔵博士の盟友でもあったゴードン博士が光子力研究所を訪ねていた。

その頃、ドクターヘルの海洋型機械獣グロッサムX2が太平洋で船舶を次々に襲っていた。
ゴードン博士の妻子も犠牲になってしまう。
博士の協力によりマジンガーZを水中用に改造してグロッサムX2に立ち向かうのだった。

演出がすごい。
語るのはあとにして、まずは問題の部分から。


研究所につくなりゴードン博士に不吉なニュースが知らされる。
沈没事件が続発している海域に妻子の乗った船の航路も入っていたのだ。
たしかに青ざめるようなニュースである。

しかしだからと言って本当に青くなるとは思わなかった。

図1
ニュースを聞く直前の顔。

図2

ニュースを聞いた直後。

弓教授もびっくりだ。
「ど、どうしましたゴードン博士!」


悪魔が乗り移ったか、致死性の謎のウィルスに感染したのかもしれない。
しかしまあ演出上「顔が青くなった」ということはどうにかわかります。
「妻と娘の身が心配だ」と語るゴードン博士。

ここでさやかと甲児たちのカットが入ります。
「ええっ」




「私は光子力研究所の招待をうけて、一足先にジェット機で日本に来たのだが、妻と娘のリサはいまごろ太平洋上でのんびり船旅を・・・」
ってまだ顔青いのかよ。


顔があそこまで青くなっただけあって、ゴードン博士の不吉な予感は当たってしまいます。

光子力研究所のTVにセント・クイーン号が沈没したというニュースが流れる。


 「ば・・・ばかな! 妻のメアリーと娘のリサは死んだというのか・・・! うう・・なんてことだ・・・」

直後に甲児君はこう言い放ちます。

「それにしても、どうしてこう次々と船が沈没するんだろう」

いや、たしかに疑問ですよ?
船の連続沈没事件は不自然だし。
だけどこの場面で妻と娘の受難を知って悲しむゴードン博士はスルーですかそうですか。

さやかさんも、甲児君のこの疑問にノリノリで、ここからわけわからんコント発動です。

さやか「それが問題なのよ」


甲児&さやか
「ひょっとするとー これは ドクターヘルのしわざかもしれない」

同時に同じことを考えていた甲児君とさやかさんは、思わずハモってしまいます。
一言一句たがえずにハモってしまうところを見ると、いつもすれ違いの二人は案外相性がいいのかもしれませんね。

その間も悲しみにくれるゴードン博士はスルーです。

 弓教授「なんだって!」


さやか「甲児くん、あなたもそう思う?」


甲児「ああ、もちろんだとも」

悲しむゴードン博士のことは誰も気にせず、もうすでに忘れ去られています。
哀れゴードン博士。がんばれゴードン博士。
僕だけはあなたの味方です。

さやか「とにかく大橋沖へ行ってみましょうよ」

甲児「よし、行こう!」

悲しむゴードン博士をおいて、二人は出て行ってしまいます。
ゴードン博士の心痛は察するに余りあります。
さぞかし悲観にくれている事でしょう。

・・・・


あれ・・・?



ひとごとだー!

立ち直りはえぇー・・・


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さあ、びっくり演出にひとしきり小躍りしたあとでフォローもしときましよう。

この時代のアニメというのは、劇画ブームの影響を受けてアニメーションが漫画映画から「映画的」に変貌を遂げていく過渡期にあったため、アニメ制作の現場では手探りで演出上のいろいろな実験が行われたと思われます。

マジンガーZは、この時期の一ジャンルとなったパイオニアであったので、のちのTVアニメ演出につながる数々の方法論を生み出したことでしょう。

この第18話ではドームの中で巨大なマジンガーにドッキングするパイルダー号のバンク(使いまわし)カットがあるのですが、広大な背景をスクロールさせてのカメラワークの演出は見ごたえがあります。

こういう会心の1カットを生み出す影で、ショボショボの数カットが生まれてしまうのも仕方のないことかもしれないですね。

ただし、今回紹介した部分は、明らかに監督の手抜きによる罪が大きいと思います。
ゴードン博士が悲しむ場面では脚本家の高久進が、いくらツギハギ作家だとしてもこんな無神経なミスを犯すとは思えません。ツギハギを上手く誤魔化すのも高久の得意とする小技だからです。

恐らくですが、脚本段階で(監督の演出にゆだねて)省略した部分をこの監督はそのまんま脚本ベースに構成して機械的にコンテを切ってしまったのではないでしょうか。

いまのアニメでは考えられない惨状ですが、これもアニメ大国日本の基礎を作るのに必要なあだ花だったわけで、そう思えばもう二度と見られないような珍奇な演出も愛しくさえ感じられますね。
2005.03.12 Comment:0 | TrackBack:0
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