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第8回 21世紀新人シナリオ大賞のドラマ化。

この手の新人シナリオのドラマ化にはこれまでこれといった感想をもつものはなかったので、
たまたまニュータウンフェチだったので「ゴーストタウン」というワードに惹かれて、そのへんの描写に期待して見たわけだけども。
見事に期待以上の出来。

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ヒロインの父はリストラされて派遣で働く低所得者で、
作者も工場で働く派遣労働者だ。

夢も希望も敗れ去った家族と重なるように描かれる舞台は、
かつて「ニュータウン」だった廃墟同然の街。
かつての希望の土地は、いまは荒涼とした「ゴーストタウン」だ。

この荒んだ舞台で、ヒロインの女子高生のたわいのない恋や学業の日常が描かれるのだけど、そんなのん気な描写の中に、一筋縄ではいかない仕掛けが隠れている。


冒頭の人身事故が、どうせラストにつながるんだろうなとは思っていたけど、
そういういやらしい目でみている視聴者の予想を裏切る形で、物語は巧妙な伏線をはらみつつ意外な方向に進む。

終盤「居眠りを起こされる」という実に地味な出来事が大きな変転になっていて、
見ているこっちも、 え、え、なにこれ??? とハテナマークをいっぱい出してしまったが、
ここを境に、視聴者はそれまでの世界が見せかけであったことを知り、物語の本当の姿が現れる。
(これは本当のヒロインの姿であり、同時に世界の姿でもあると思うのだけど)
この真の姿が、潜行していたテーマを伴ってぐわっと浮上してくるダイナミックさと、作者の意図した着地点にストンと収まるところが実に見事だった。

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夢も希望もないような世界でも、
友情やいたわりのような気持ちは存在するし、それさえ忘れなければ世界はまだまだ捨てたもんじゃない。
本当に怖いのは、見たくないものを見ないことだ。
しかし見たくないものを見ずにいると、同時に見失うものは大きい。

「ゴーストタウンの花」という題には、そういう負の世界の影になって見えにくくなってしまった光の部分を熱望するような作者の声がにじんでいるようで心を動かされた。

これは、ドラマで描かれた低所得者層だけでなく。
テレビの前の全ての階層の人にとって等しく必要なメッセージだと思う。

世の中嫌なニュースばかりで、目先の欲を欠いた連中のおかげで世界中がめちゃくちゃになってしまった。
この現実を横目に不安にならない奴がいたらそいつは狂っている。
もしくは自分を殺すほどに愚かなのだ。
なぜならば、狂った世界のつじつまあわせは、見たくないものを見ずにすむ楽天的な勝者のうえにも形を変えて必ずふりかかってくるからだ。
それは宿主を殺してしまうウィルスのようでもあり、ドラマでも描かれた「自死に向かう衝動」にも似ている。

タイトルに釣られてこのドラマを見てよかったと思う。
それはまだ自分が正常であると確認しているかのような感覚を伴う。



テレビ朝日|ゴーストタウンの花
http://www.tv-asahi.co.jp/scenario/index.html


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2009.03.21 Comment:3 | TrackBack:2
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